おひとりさまの終活は、捨てることから始めなくてもいい
将来のために老人ホームを選ぼうとされているお客様から、よくお聞きする言葉があります。
「先々のことを考えて、自宅の物を減らさないといけないとわかっているのですが、捨てられないんです」
「老人ホームには全部持って行けないですよね…でも、捨てたくないんです」
そのたびに、私はこうお伝えしています。
「捨てることより大切なことがあります」
捨てなくても進む終活
多くの人は、将来の老人ホームへの引っ越しを考えた時に、「捨てること」から始めようとします。
ほとんどのお客様が、今のお住まいより狭い老人ホームのお部屋に入居することを考えると、それ自体は間違いではありません。
でも「捨てられない」「捨てたくない」と思っている人にとって、捨てることから始めるのはハードルが高すぎます。
「捨てる」に集中し過ぎると、途中で思考が止まってしまい、結局何も進まなくなってしまうのです。
捨てることは後回しで良い
だから私は、こう提案しています。
「まずは“捨てない物”を選ぶところから始めましょう」
もっと具体的に言うと
「お元気な今のうちに、ずっと自分の手元に置いておきたい物を一か所にまとめましょう」
と。
なぜ、私がそうお伝えするのか。
理由はシンプルです。
介護が必要になった時には、大切な物を選り分ける体力が残っていない人が多いからです。
「できるだけ長く自宅で暮らしたい」と思うなら
「できるだけ長く自宅で暮らしたい」
「必要に迫られたら、老人ホームへ行く」
そう考えている方に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
お元気なうちに老人ホームへの引っ越しを決める方は、自分で物を選り分けるエネルギーがあります。だから大切なものと一緒に引っ越すことができます。
でも、必要に迫られて引っ越す場合は違います。
その日は、突然やって来るかもしれません。
そうなると、誰かの手を借りて、入居手続き、家の片付け、引っ越しなどを急いで進めていくことになります。
私は過去にそういう状況になった高齢者の方をたくさん見てきました。
待ったなしで引っ越さなくてはいけない時は、ご本人が納得いくまで物を選別する余裕はほとんどありません。

あなたも周りも助かる「たった一つの準備」
そんな時にとても助かるのが、持って行きたい物(大切な物)が一か所にまとまっている状態です。
「私にとって大切な物はまとめてあります。これだけは老人ホームに持っていきたいです。それ以外の物は処分して大丈夫です」
この一言があるだけで、周りの人は迷いなく動けますし、何よりあなた自身の想いが守られます。
捨てることは他人でもできますが、何が大切かを選び取ることはあなたにしかできないことなのです。
断捨離の前に
思い出がいっぱい詰まった写真や手紙。
記念に買った指輪や、一生の友のように感じる本。
誰にでも、理屈抜きで大切なものがあるはずです。
世の中は断捨離ブームですが、まずは「捨てたくない物」を愛おしむことから始めてみませんか。
視点を変えるだけで、終活がぐっと進むかもしれません。